2023春 部員日誌vol.17 「二つの『しこう』」
こんにちは。東京大学運動会ハンドボール部4年の渡辺凌眞です。
ここでは、僕が大学でハンドボールをしていく中で、大切にするようになった二つの「しこう」についてお話ししたいと思います。自分語りの拙い文章になりますが、最後までお読みいただけると幸いです。
一つ目は、「思考」です。これは言うまでもなく「考えること」です。僕たち東大ハンド部は、戦術に関与する監督など「大人」は存在せず、学生コーチの方が付いてくださるのみで、日々の練習や試合で使う戦術など、基本的には自分たちで組み立てていくことになります。毎日の練習の中で、自分や他のプレーヤーのプレーはもちろん、一個一個の練習の意図や戦術の理解など、より深く考えていく必要があります。なぜならば、絶対的な指導者が存在しない環境では、自分のプレー、そしてチームのプレーの答えは、基本的に自分たち自身で持っておく他ないからです。
他のスポーツに違わず、ハンドボールという競技も、練習あるいは試合に入る前にどれだけイメージを持って準備できているのか、言い換えるとどれだけ考えて臨めていたかが、その練習/試合での自分のパフォーマンスをほぼ決めてしまうという競技です。だからこそ、事前の「思考」が非常に大切になってくると考えています。
二つ目は、「試行」です。これは、ほぐして言うならば、「トライアンドエラーを数多く積み重ねる」ということです。練習とは試合のために行うものであって、従って練習では試合で行いうるプレーを発見・精錬させていくためのものであるという側面を持ちます。では、試合で通用するプレーとはどのように見つけていけば良いのでしょうか。僕は、「再現性の高いプレー」を理解し、その確率を高めていくことがこの答えの一つであると思います。この再現性の高さを担保するのが、練習での試行錯誤の量そのものであると言えるでしょう。自分が考えてきた様々なプレーを練習の中で「試行」し、その中でうまくいった例・失敗した例を積み重ねていく中で、試合で通用するプレーが演繹的にわかっていくのではないでしょうか。
注意しなければならないのは、「思考」のもとに積み重ねられた「試行」こそが真の意味を持つと言うことです。事前に自分のしたいプレーを用意しておいて、後で自分のプレーについてそれは良かったのか、悪かったのか、そしてそう評価されるのはなぜなのかという反省を地道に1個ずつ行なっていくことが、練習に意味を持たせる営みであると思います。
僕が東大ハンド部を好きな理由の一つは、これら二つの「しこう」について、チーム全体でそれを意識し、共に高め合える環境になっているところです。
例を挙げると、各練習・試合の動画をスタッフさんが撮ってくれるので、自分だけでなく他の部員のプレーを何度でも見返すことができます。またハンドボールについて、先輩後輩の別なく真剣に話し合えるような環境になっていると思います。決して自分のコンフォートゾーンに居座るのではなく、日々さらに上のステップを目指して一緒にもがいてくれる仲間がいる、このような場所でハンドボールをさせてもらえることに、本当に感謝しています。
自分がイメージしたやりたいプレーが、試合の中で思った通りに決まった瞬間、自分の全身の血が沸騰するような感覚になります。自分自身の高揚感がはち切れんばかりに爆発する瞬間、仲間の声援を一斉に浴びる瞬間、あぁ、ハンドボールをしていて良かったな、と思います。最高の仲間が揃っている東大ハンド部で、ハンドボールをする喜びを一緒に感じてくれる人が増えてくれることを切に願っています。
最後になりますが、僕たちの代のコーチを引き受けてくださった服部さんをはじめ、支えてくれる皆様、応援してくれる皆様に、感謝の意を表明いたします。
ここまでお読みいただきありがとうございました。